「財」の分類
- Daniel Tanaka
- Sep 17
- 3 min read
お金とは何でしょうか。
日々の暮らしの中で当たり前に使っているものですが、その正体を言葉にするのは意外と難しいです。
私はお金というものを理解するために、「財」という視点から考えてみたいと思います。「財」とは単なるモノや資産ではありません。それはマネーそのものであり、社会における流動性プールを構築する要素です。
人々が「交換可能」と認めた瞬間、あらゆるものは「財」となり、流動性プールに投げ込まれ、エントロピーの増大に抵抗するための道具あるいは生活を便利にするためのツールとして活用されます。
私は、この「財」には大きく3つの形態があると考え、以下のように分類します。
1. 現物財(実体のある財)
定義:物理的に現実世界に存在している財。
例:金、銀、家畜、穀物、土地、土地
2. 虚構財(虚構・文字ベースの財)
定義:言語・記号・帳簿・契約などによってのみ存在する財。
例:銀行口座残高、債務・債権(帳簿記録)、株券・社債(記録媒体が文字ベースのとき)
特徴:主に「約束」や「記録」の形で流通し、信任が崩れると消滅しやすい。
3. 現実的虚構財(アーティファクト化した虚構財)
定義:虚構でありながら、イデアやミームを現実世界に具現化したもの。
例:硬貨、紙幣、ヤップ島のライ石、ビットコイン、ピラミッド、モナリザ、都市、宗教建築物
特徴:
具現化 — イデアや物語がアーティファクトやデザインの形をとる
ミーム性 — 人々の感覚・文化に浸透し、共有される象徴となる
時代超越 — 制度や文脈が変わっても、ミームとして存続し続ける
区分の要点
現物財:実際に存在するもの
虚構財:文字・記号によって存在するもの
現実的虚構財:虚構がアーティファクト化し、ミームとして現実世界に力を持つもの
まとめ
「財」とは、流動性プールを構成する要素であり、マネーそのものです。
現物財は自然の与えた基盤、
虚構財は人間が文字で作り出した制度、
現実的虚構財は宗教のように象徴化され、時代を超えて人々を動かす力を持ちます。
この3分類を手がかりにすると、一部の財が宗教と同じ構図で成立していた事実が見えてきます。それが「虚構財」や「現実的虚構財」であり、現物財と並べて考えるとマネーそのものを理解しづらくなる原因でもあります。
しかしながら、流動性プールにはなんでも入れることができるので、一旦入れてしまえば虚構財や現実的虚構財の方がエントロピー増大に抵抗を持つのでカレンシーのポジションを取ることが多く、一般的にマネーというとこちらをイメージしてマネーは集団幻想だという意見を持つ方がいますが、それはマネーの一側面しか見ずにマネーが何たるかを語る行為に思えます。


