Brrrしても流動性プールのサイズは変わらないどころか縮む
- Daniel Tanaka
- Oct 3
- 3 min read
近年エブリシングバブルという言葉をよく聞きますが、私は今の状況はバブルではないと思います。
どちらかといえば、バブルの逆。ブラックホール。
実体経済を食いつぶしながらどんどんすべてを飲み込んで無に帰すブラックホールだという印象を受けています。
タイトルにあるBrrrとは中央銀行及びFRBがお金を高速でプリントするときのオノマトペです。簡単に言えば、紙幣が増えていることを指すミームのようなものですね。
実際はプリントせずとも不換紙幣は電子的にいくらでも増やせるのでBrrrという音すら必要なくて、多分キーボードとマウスのクリック音がふさわしい音なんですが、わかりやすいのでクリプト界隈ではBrrrと表現されます。
このBrrrが起きたとき、流動性プールに何が起こるのかを今日はひも解いていきたいと思います。
わかりやすくするために簡単な仮想の市場を想定します。
あなた、中央銀行と同等の権利を持つ個人
村人A、りんご業者
村人B、床屋
村人C、インフラ管理業者
村人D、レストランオーナー
あなたが持つ信用力があなたがプールに投げる財です。
あなたは信用を増やしたり減らしたりすることもできますが、それは自分一人でできることではなくて、他者との関係性において誠実な対応するかどうかで判断されます。
村人ABCDたちが市場に自らの労力と時間と工夫をもって財を投げ入れているのに対して、あなたは特権を使って紙幣を刷ることができます。中央銀行と同等の権利なので、村人たちにその紙幣の利用を強制できます。
ここであなたは楽に儲けを出そうと紙幣を大量に刷ったとします。いわゆるBrrrですね。
この時、あなたの紙幣の流動性の裏付けとなっているのはあなた自身への村人たちからの信用なので、もちろん信用が急増するわけでもないことから、あなたがBrrrすればするほど需要と供給の均衡が崩れて紙幣の価格が下がります。
紙幣が少しずつ増やされた場合には気づきづらくはありますが、村人たちもバカではありませんから、いずれ気づきます。紙幣の量が以前より増えていると。
そう感じた村人たちはあなたを信用し続けるでしょうか?いえ、そんなわけはありません。
スピードはわかりませんが、はやいにせよおそいにせよ、いずれあなたの信用はプールから追い出されます。
そしてその時、流動性プールはあなたの信用分、縮小します。いえ、過剰に信用を積んでいた場合、あなたの信用分を超えて縮小するかも知れません。
流動性プールは拡大が正義、縮小が悪です。
何もしなければエントロピーの増大の関係で時間経過と共にプールは縮小するので、市場参加者が創意工夫と努力をもってプールのサイズを最低限維持するか大きくし続ける必要があります。
流動性プールのサイズが極端に小さくなると生命を維持できないひとが続出するので、これは人類がどう生きるかという問題に直結しています。
もし村人たちがあなたの信用を過剰に高く見積もっていて、あなたが無限にBrrrした場合、あなたの信用がプールから追い出されたとき、流動性プールは破壊的な規模感をもって急激に縮小します。
あなたの住む村がまるでブラックホールに飲み込まれるように生存することが極めて困難な場所へと変貌していくことでしょう。
私はそんな時代へと私たちの現実世界が刻一刻と近づいている気がしてなりません。抗えるのかどうかはわかりませんが、私は自分の流動性を拡大する努力をもって最大限あがいてみようと思います。


