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ビットコインは政府を潰す武器ではなく、政府を縛る鎖だと思う話

  • 執筆者の写真: Daniel Tanaka
    Daniel Tanaka
  • 2025年11月26日
  • 読了時間: 3分

ビットコインは、「国家をぶっ壊す」「アナーキーに向かうための武器」「国家から自分の富を守る」みたいに語られることもありますが、仕様をちゃんと理解すればするほど、アンチ政府として設計されたものではないと感じます。


むしろ個人的には、

ビットコインは「自分を守る」ではなく、「政府の暴力を縛るため」に生まれた鎖

に見えます。


その理由を、自分用のメモも兼ねて整理しておきます。


暴力には「外部性」と「内部性」がある


まず、前提として「暴力」の議論が必要なので大まかに暴力をざっくり2つに分けて考えます。


1.外部性の暴力


これは、外からやってくる暴力です。


  • 他国からの軍事的圧力や侵略

  • テロリズム

  • 武装勢力による脅威


こういう外部性の暴力に関しては、政府は比較的「最善を尽くせる」ポジションにいます。


軍隊、警察、外交、安全保障同盟。

そのための装置を一通り握っているのが国家だからです。


国家間の暴力が均衡していれば一時的な平和が訪れ貿易が始まりますが、均衡が崩れ通常の状態になれば戦争になるか、庇護に入るか、支配されるかのいずれかの道を辿ることとなり、貿易というより搾取や破壊がメインシナリオになります。


2.内部性の暴力


一方で、ややこしいのが内部性の暴力です。


  • 通貨発行の乱用や、インフレによる事実上の資産収奪

  • 法律や税制を使った恣意的な締め付け

  • そして、逮捕・拘束・懲役・死刑といった、国家権力による合法的暴力


これらは銃やミサイルのような分かりやすい暴力ではありませんが、人々の「時間」と「労働」と「資産」と「自由」を奪えるという意味では、やはり暴力の一種だと言えます。


そしてここでは、暴力が均衡していません


外からの暴力に対しては政府は国民を守る側ですが、内部の暴力に関しては、政府自身が「加害者」になり得るからです。一国民に国家から身を守る術は殆どありません。


私がビットコインを考えるとき、最も気になるのはこの「内部性の暴力」です。


どうしても「アナーキズムのためのツール」に見えない


じゃあビットコインは、この2つのどちらに対して設計されているのか、という話になります。


  • アナーキーに向かう

  • リバタリアニズムの最終兵器


みたいな文脈で語られることもありますが、プロトコルの仕様を冷静に見ると、どうしても違和感があります。


もし本当に、

「政府を潰してアナーキズムやリバタリアニズムに走るためのツール」

であることが主目的なら、ビットコインの仕組みを最も深く理解している一部のサイファーパンク達がビットコインに失望してプライバシーコインに傾倒することもなかったでしょう。


事実、ビットコイン上の送金記録は例外なく政府に監視されるでしょうし、匿名を保ったまま大量のビットコインを使用するのは困難を極めます。


サイファーパンクの一部がビットコインを批判している事実そのものが、ビットコインは「無政府主義・自由主義のプロジェクト」ではないということの裏返しに見えます。


アンチ内部性暴力のプロトコル


私にはビットコインは、国家そのものを否定する道具というよりも、「国家を完全には信用しない」という前提に立ちながら、それでも国家と共存できるようにするためのプロトコルとして設計されているように思えます。


だから私は、ビットコインを「アンチ政府」ではなく、「アンチ内部性暴力のプロトコル」と位置づけたいです。


政府を完全には信用できないからこそ、政府そのものは残したまま、外側に「縛る仕組み」を置いておく。その外部装置としてのビットコイン、というふうに捉えると、いろいろなピースがきれいにはまってみえます。

 
 
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