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Coconut Wallet/Vaultの意義

  • Writer: Daniel Tanaka
    Daniel Tanaka
  • Oct 24
  • 6 min read

韓国でビットコインセンターを運営しているNonce Lab.が「あったらいいな」と思うビットコインアプリをローンチしていたので紹介します。私が勝手に気に入り、運営者と連絡を取って仕様を聞いた上で素晴らしい設計だと思ったから紹介するだけでインセンティブは何ひとつ受け取っていません。


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COINiDと同じ設計、しかしより堅牢、そして誠実


COINiDというアプリをご存じでしょうか?以前私の『ビットコインツール大全』にて紹介したことのある、使い終わった中古のスマホをハードウェア・ウォレットにしてしまおうというプロジェクトだったんですが、開発が進むわけでもなく、ずっと停滞していたので発想は素晴らしいと感じたものの、実利用に使えるアプリではないという感想を残していました。


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そんな中、Xにて@Coconut_BTCというアカウントから新しいウォレットをリリースしたのでぜひ使ってみてくださいというリプを受けたので、ビットコインツールならほぼ全部試しに行くような輩である私は当然のごとく即ダウンロードしてどういうアプリか確かめにいきました。


そうするとすぐにCOINiDの改良版であることに気づき、COINiDでは説明されることのなかった部分を中のひとに直接聞いてみることができました。


「堅牢、そして誠実。」


これが中のひとの話を聞いて私が感じた印象です。


そもそもの設計が「絶対にビットコインを守る」と「初心者でも負担なくビットコインを扱えるようにする」という確固たる意志を持った上でなされた痕跡があちこちに見受けられました。


そして、運営者曰く、日本語対応も実行する予定で、学習用アプリも準備されていて、さらには学習用アプリを使ったセルフカストディ講座用のパワーポイント資料も無料で配布され、自由に授業料を受け取り講義をしても良いとのことでした。


ビットコインセンターなるものを不動産の価格高騰がすさまじいと聞くソウルで運営し、さらにはビットコイン開発者も抱えて開発も実行しながらの運営だと思うので、収益化に成功するような価格設定ではないように見えます。ほぼ慈善事業ですね。


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Coconut の挙動、使い方


Coconut walletの挙動は主に以下のようになります。


1.Coconut walletをインストールしたネットワークに接続する通常のスマホを用意し、そこでトランザクションデータを生成します。いわゆる送金依頼書のようなものですね。主にコンパニオンアプリと呼ばれるものがこれです。


2.Coconut vaultをインストールしたネットワークに接続しない完全オフラインスマホを用意し、そこでシードフレーズを管理することでスマホを実質的なハードウェア・ウォレットとして利用し、オフラインのままで署名することができるようにしています。


以上の2つのデバイス、2つのアプリでオフラインのままでビットコインの取引に署名をするという設計です。もちろん、Vaultアプリを使わずに通常のハードウェア・ウォレットを使うこともできます。


スマホによるVault運用時の懸念点の解消


COINiDを見つけた際にはシードフレーズがアプリ内でどのように扱われているのかという説明がされておらず、開発もアクティブではなかったために詳細を知ることができませんでしたが、Coconutは直接仕様を聞くことができました。


Coconut vaultではシードフレーズはHSM(Hardware Security Module/ハードウェアセキュリティモジュール)にて管理され、署名時のみ一時的にメモリに読み出す仕様となっているそうです。


Vaultは金庫というような意味の単語ですが、ここではシードフレーズの金庫という意味でしょうか。


最近のスマホであればHSMは内臓されていることが多いので、追加で何かを買う必要がなく(Coconut vaultは有料アプリで、ストア以外では入手できないですが)中古のスマホひとつで取引所やソフトウェア・ウォレットとは比較にならないほど堅牢なビットコインの保管手段として機能します。


ルート化(root化)や脱獄(ジェイルブレイク)の痕跡があるスマホではそれを検知し、警告する仕様となっていて、メモリに読み出すのを思いとどまらせる運用らしく、不正操作されていないスマホであれば、常時オフラインで利用できますし、メモリ上のデータが勝手に読み取られるということは殆どないと思われます。


そしてネットワークに接続されたことを検知すると即座にメモリを初期化しシードフレーズがHSM以外のどこにも露呈しない状況に戻す設計だそうです。


社会的なインパクト


Coconutを使えば、ビットコインの運用コストがとんでもなく安くなるはずです。ハードウェア・ウォレットを買う必要がなくて、紙にシードフレーズを書いておいて送金したいときにVaultに一時的に読み込ませて署名すればいいですからね。


そうなると親族10人に1台の中古スマホとVaultアプリがあれば高価なハードウェア・ウォレットを買うことなしに、ビットコインを取引所よりも遥かに安全にホドルすることができます。


10人もいればだれかひとりは中古スマホあるでしょうし、世界の貧困層でもスマホは持っていますからね。現実的に社会問題として捉えた場合に貧困層にセルフカストディアルな銀行アプリとして機能する可能性すら感じます。


私ならどう運用するか?


私はCoconutの設計思想に深く共感できるので、積極的に使っていこうと思います。


考え得る使い方は以下の3つです。


1.ビットコインに興味を持ったひとに教育するためのコンテンツとして利用


いきなりハードウェア・ウォレットを買わないと安全に使えないなんていうとほとんどの人は躊躇するので、学習用アプリで教育だけして実際にビットコインに足を踏み入れるかどうかは教育を受けた後に自分で判断してもらうことができます。


2.実際の送金に利用


普段はSparrowやBlueWalletを愛用していますが、BlueWalletの複数アドレスへの送金は個人的にちょっとUXが難しいと感じるので、UTXOの整理や分散を強化する際には積極的にCoconutを利用したいと思います。


3.国境を超える際に利用


ハードウェア・ウォレットは見ただけでそれがハードウェア・ウォレットだとわかってしまいますし、金属板はもろに検査で金属を持っているということがばれてしまうので、国境を越えてシードフレーズを移動させたい場合のひとつの手段として利用したく思います。


SeedKeeperのようなスマートカードを利用しても良いですが、移動先の国でハードウェア・ウォレットを入手する必要が出てしまうので、単純に移動させたいだけといった場合や一時的にシードフレーズを自分の体とセットで国外に出したい場合に重宝しようと思います。


まとめ


韓国のビットコイナー、あっぱれです!


素敵なツールをありがとう!!


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